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9.11から20年。
2021-09-13
クリスマスの贈り物
2001年9月11日、クリスマスの影絵「天使の贈り物」が完成されようとしていた時、深夜のテレビ放送でアメリカ同時多発テロ事件の報道が流れた。ありえない状況に、何が起こっているのか分からない。知人に連絡をいれたが、通じない。その翌年は、ニョーヨークで展覧会をする事になっており、父も私も大好きな街であった。
 
そして翌年ギャラリーでの展覧会オープニングパーティーも無事に終え、翌日私だけ9月11日にボストンへ行き、領事館の方と打合せをした。その後美術館に行き、会場見学と打合せを終えボストンからニューヨーク行きの飛行機に乗った。機内は満席となり、間もなく現地に着くはずが、飛行機は中々降りようとしない。機内の全ての電源が機能しないのか?蒸し暑く不安にかられて、周りの乗客が騒ぎ始めた。何も放送が無く、不安げに叫ぶ人が増え、周りの乗客は、手を握り始めた。
人種差別無く、互いに手を強く握りあったその時、誰かが歌を歌い、また誰かが叫び始め、恐怖で泣き始めた。飛行場の上空を何度も旋回しているかの様だった。怖かったが、父と待ち合わせていた事が気になった。もしも私に何かあったら、父に何もしてあげられないと思った。上空を3時間近く飛んでいたら、次第に高度を低下していき、やっと飛行場に着陸した。だが、また何もアナウンスが無く、再び恐怖に陥った。2時間ほどが過ぎ、蒸し暑い機内のドアが開いた。その後、開いた扉へ皆が向かい、タラップから降りた。涙した私は、機内から脱出できた。タラップを降りた目の前には、ロウソクの光が、目映く広がっていた。忘れはしない出来事であったが、私にパニック障害を残した。
この出来事は、後に私の心に残した、天使の贈り物となった。
9.11の悲しい光の祈りに、天使の贈り物が届きますように。
 
「天使の贈り物」の原画のバックは、偶然にもクインズの風景に似ている。
原画の中にあったプレゼントは、赤いリボンだけになった。

 
藤城清治美術館那須高原
館長 藤城亜季

 
世界を震撼させた9.11アメリカ同時多発テロから20年という月日が経ちました。
メトロカードにもなった藤城清治先生の作品「天使の贈り物」は、偶然にも2001年9月11日に制作していた作品でした。
事件の報道を目にした藤城清治先生は、急遽本作へ手を加え、平和への願いを込めました。
作品の中で白鳥がくわえている赤いリボンは、平和への願いと人を愛する心を象徴しています。
無情なテロにより犠牲となられた方々に、改めて心から哀悼の意を表し、平和な世界の実現を強く願います。

 
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